わかばやしじょうあとしゅつどおりべさら
若林城跡出土織部皿
解説
Description
本資料は若林城跡の発掘調査で出土した織部皿であり、出土状況や共伴遺物から若林城の存続時期である17世紀前半のものと考えられる。
本資料は底部中央がドーム状に盛り上がる他に例を見ない器形であり、その製作技法に「弥七田織部」の特徴がみられることから、弥七田古窯で生産されたものと評価されている(長瀬・髙橋2025)。織部焼は主に17世紀初頭から美濃地方で生産されており、茶陶や懐石具を主体とし、全国に流通していた。中でも美濃国の弥七田古窯(現 岐阜県可児市)では、織部製品を焼いた他の古窯とは一線を画す独特で特徴ある良質な製品が焼成されており、弥七田古窯産の製品は「弥七田織部」と呼ばれた。本資料と同形状の「弥七田織部」は極少数しか出土しておらず、若林城跡を除くと弥七田古窯跡と三春城下・近世追手門前通遺跡群B地点(福島県三春町)のみであるなど貴重な資料である。
また、『貞山公治家記録』に記述のある茶会や能を催した「西曲輪」は若林城の一角にあったと考えられており、若林城が饗応の場としても機能していたこと、賓客をもてなす際は出土した織部焼など高価な品を使っていたことが推測される。
以上のことから、本資料は若林城跡の性格を考える上で欠かすことが出来ない重要な資料であるとともに政宗の趣味嗜好が垣間見える遺物として価値が高い。
参考文献
仙台市教育委員会2010『若林城跡-第8次・9次発掘調査報告書』仙台市文化財調査報告書第377集
仙台市教育委員会2011『若林城跡-第11次発掘調査報告書』仙台市文化財調査報告書第383集
長瀬治義・髙橋純平2025「1.若林城跡出土「織部皿」」『仙台市文化財調査報告書第528集 文化財年報46 令和6年度』 pp21-27
仙台市史編さん委員会2001『仙台市史 通史編3 近世1』